稲垣美幸 かんぼれんスタッフ
1. イエズス会社会司牧センター主催のカンボジアスタディツアーに参加して
2003年に、初めて、スタディツアーに参加しました。まだ、その頃は、カンボジアも道路や街の整備が遅れており、車の移動も土煙の中、ぼこんぼこんと揺られつつ、村々を巡りました。その中で、イエズス会サービスカンボジア(JSC)の支援は、教育・医療・車いすなどの障がい者福祉サービスや農業支援など多岐に亘っていました。特に、地雷などで障がいを負って貧しい生活を強いられている人、女性、教育を受けられない子どもたちと、弱い人々への支援を第一に考えていることが、強く印象に残りました。また、ポルポトの虐殺時代に、人々の信頼関係も壊され、村のコミュニティ再生に向けた話合いの場をもつことや若い教師のスキルアップのための育成など、将来に向けての支援は、親身で粘り強いものでした。「ソクサバーイ(お元気ですか~)」と笑顔で挨拶しながら、街の中心から、遠く離れた村々を廻るスタッフの活動に感心しました。今でも、毎年、私たちのツアーを快く迎え入れてくれる、親切で温かい“おもてなし”に感謝しています。
2.シソポンのスタッフとともに
2003年スタディツアーの後半、プノンペン、バタンバンの見学の後、ちょっと立ち寄ったのがシソポンJSC事務所でした。庭は美しく手入れされ、にこやかなグレッグ神父はじめ、小鳥や犬までもが歓迎してくるような穏やかなオフィスでした。そこで、シソポンの活動指針と年間計画を、パワフルに説明してくれたのが、スタッフの責任者ソクエンさんでした。教師をしていたということもあり、教育に対しての熱意も技術もスペシャルでした。支援の記録も充実していました。タイとの国境近くで、地雷の除去もまだ進んでいない地域で、まだまだ支援が必要だという状況でした。ちょうど、オフィスの台所近くのスペースで、若い教師たち6人ぐらいで「教え方の研修」をしていたのも印象的でした。
この出会いをきっかけに、その年、ボネット神父を中心にして一緒にツアーに参加したメンバーたちが「カンボジアの友と連帯する会~通称:かんぼれん~」を立ち上げました。かんぼれんの活動も、今年で11年目を迎えています。シソポンのスタッフとともに、どのような支援を行うのか、その後、人々の暮らしはどうなっているのか、毎年のツアーの中で対話を続け、メールでやりとりしながら、その苦労と喜びをわかちあっています。
3.カンボジアの友とともに
プノンペンの「鳩センター」は、障がいを負った人たちの職業訓練校ですが、市内に「ピースカフェ」を開店し、訓練校で作られた彫刻やクラフトの製品をおしゃれに販売しています。携帯電話修理の技術やメイクアップなどの新しい技術の習得、メコン川の環境問題も捉えた、樹木の育成、家畜の飼育法など、新たな取り組みも次々とされています。
シソポンやバタンバンなど、遠くの小さい村々から訓練校に来て技術を習得し、村に戻って自立した生活を送れる。そのようなソーシャルネットワークサービスの実現が、JSCのスタッフの力で、実現されていました。私は、ツアーで行く度に、カンボジアの人々の温かい笑顔とおいしい料理に、ほっこりと癒されます。そして、ソクエンさんやシェムリアップJSCのスレイモンさんに元気をもらいます。日本でも、仕事に向かいながら、彼女たちの仕事に対する姿勢をよく思い起こします。これからも、体に気をつけてともにがんばりましょう。また、お会いしましょう。